発達障害者支援センターでは、発達障害のある人の日常生活をサポートしています。診断を受けている大人や子ども、その家族だけでなく、まだ診断を受けていないものの発達障害の可能性がある人の支援もおこなっています。
窓口は各都道府県や政令指定都市の自治体となっており、一つの自治体に複数のセンターがある場合もあります。また、それらから委託された事業所が窓口となる場合もあり、いずれも無料で相談を受け付けています。
発達障害者支援センターとひとことで言っても、自治体によってサービスの内容が異なり、各センターごとに重点化しているサービスが違う場合もあります。主なものは下記の通りです。
各種障害福祉サービスや制度の利用方法を紹介
家庭や学校、職場における支援の方法を助言
就労機関と連携した、就労に向けての支援
医療機関への紹介 など
また、施設によって違いはありますが、基本的には専門の職員のほか下記のような専門家がおり、それぞれの専門に沿ったサポートを受けることができます。
社会福祉士
公認心理師・臨床心理士
言語聴覚士
精神保健福祉士
医師 など
自治体によっては以下のような、大人特有の悩みをサポートするセンターもあります。
人間関係が上手くいかない
職場で何度も同じミスを繰り返してしまう
仕事を辞めてから、子どもが部屋に引きこもっている
職場の同僚・友人を助けてあげたいが、どう支援をしたらよいのか悩んでいる
まずはお住まいの地域の発達障害者支援センターが、どんな支援をおこなっているのか調べてみましょう。
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発達障害者支援センターでは、発達障害での困りごとやそれぞれのライフステージに合わせて、大きく分けて3つの支援をおこなっています。これらは、発達障害のある大人や子どもをはじめ、その家族の誰もが利用できます。
また相談者に対する支援のほかにも、発達障害に関する知識の普及啓発もおこなっています。これにより、発達障害のある人の周囲の人々に対してより理解を深めてもらい、支援を必要とする人が適切なサポートを受けやすい環境づくりにつながります。
障害のある人やその家族、関係機関等から発達障害の特性からくるコミュニケーション上の困難や行動・言動面で気になることなど、日常生活でのさまざまな場面に関する相談に応じます。所属する職場や学校、保育園などでの困りごとも相談できます。
その後、必要に応じて福祉制度やその利用方法を説明したり、医療機関や福祉施設、教育機関といった関係機関への紹介をします。
障害のある人やその家族、周囲の人からの発達支援に関する相談に応じ、アドバイスをおこないます。また、知的発達や生活スキルに関する発達検査などを実施したり、発達障害の特性に応じた療育や教育、支援の具体的な方法について支援計画の作成や助言をすることもあります。ケースによっては、児童相談所、医療機関などの関係機関と連携を図り支援していきます。
就労を希望する場合は、就労に関する相談に応じると共に、公共職業安定所(ハローワーク)、地域障害者職業センター、障害者就業・生活支援センターなどの労働関係機関と連携して情報提供をおこないます。
必要な場合はセンターのスタッフが学校や就労先を訪問し、障害特性や就業適性に関する助言、作業工程や環境の調整などをおこなうこともあります。
発達障害に関するパンフレットの配布や、地域住民への講演会開催などを通じて、発達障害についての啓発活動をしています。例えば、警察や交通などの公共機関や行政機関、一般企業などにもパンフレットやチラシを配布したり、関係機関の職員を対象にした研修を実施したりしています。
発達障害者支援センターは法律の規定にもとづき、各都道府県・指定都市に設置されています。利用を希望する場合は、まずお住まいの都道府県や指定都市の発達障害者支援センター窓口への相談が原則となります。センターの利用は、基本的に無料です。
ここでは一般的な利用の流れ、支援内容の決定、支援が始まった後のサポートについてお伝えします。
まず、お住まいの自治体のホームページなどで発達障害者支援センターの窓口を探してみましょう。窓口が見つかったら、電話(センターによってファックスやメールも可能)で事前に相談予約の申し込みをするのがおすすめです。相談の方法も自治体によって違いますが、来所による相談、電話相談、メール相談などがあります。
相談では、日常生活や職場での困りごと、コミュニケーションや行動面での悩みなど、今感じている困難をセンターのスタッフに伝えましょう。相談したいことや本人の成育歴などをあらかじめメモにまとめておくと、スムーズに伝えることができます。
相談内容をふまえて、センターのスタッフからアドバイスを受けたり、具体的にどのような支援が必要なのかを話し合って決めていったりします。
相談によって支援内容が決まったら、センターのスタッフが、適切なサービスを受けるための具体的な支援計画を作成します。必要な場合には、障害者支援施設や児童発達支援の関係施設、医療機関や児童相談所、学校や企業といった関係機関と連携の上、適切なサポートを受けられます。
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発達障害者支援センターは全国47都道府県すべてに設置されています。(2023年3月現在)
人口規模や交通アクセス、自治体内の発達障害者支援体制の整備状況などによって、センターの事業内容は異なります。
原則として、相談先はお住まいのある都道府県・指定都市の発達障害者支援センターです。ただし、「隣の市のセンターのほうが近くて行きやすい」などの場合、相談先の調整や電話相談による対応などの配慮をしてもらえるケースもありますので、まずはお住まいの地域の発達障害者支援センターにご相談ください。関係機関と連携しながら相談に応じ、お近くの市町村の相談機関や医療機関の情報を提供してもらえる場合もあります。
全国に設置されている発達障害者支援センターの窓口は、以下のサイトに掲載されています。まずは最寄りのセンターを探し、問い合わせてみましょう。
発達障害かも?と思ったら、まず発達障害者支援センターへ
発達障害の特性のあらわれ方やそれによる困りごとの内容は、人によってさまざまです。また、同じ人であっても、置かれている状況や環境の変化などによって、特性のあらわれ方や困りごとの内容が変わることもあります。
「自分には発達障害があるかもしれない」と感じた時に大切なのは、こうした「波」があることを理解した上で、困った時の相談先をあらかじめ見つけておくことです。調子が良い時に「やはり自分は大丈夫だから、相談するのはやめておこう」といった判断をするのではなく、少しでも困ったことがある際に、早めに支援を受けられる体制を整えておきましょう。いきなり精神科などの医療機関に行くのはハードルが高いと感じる場合は、まず発達障害者支援センターを利用することをおすすめします。
発達障害者支援センターは、発達障害のある人だけでなく、ご家族やまだ診断を受けていない人でも無料で相談ができます。相談を通して、それぞれの人の特性や困りごとに合った情報提供やサポートを受けられます。
また、医療機関の紹介を受けられることもありますので、まずは気軽に相談してみてください。
発達障害者支援センターでは、基本的に発達障害の「診断」はしていないことに注意が必要です。これは、発達障害者支援センターの役割は、発達障害のある人やその家族の日常生活をサポートすることだからです。
発達障害者支援センターでは、前述のように、発達障害での困りごとやそれぞれのライフステージに合わせて、相談支援・発達支援・就職支援などを受けることができます。医師による診断が必要だと判断されれば専門医を紹介してもらえることもあります。
各自治体のサイトには、発達障害の診断をしてくれる医療機関の一覧などが掲載されていることもありますので、そちらを確認してみるのも良いでしょう。
地域にはさまざまな名称の施設があり、相談先を探す際にはどこが最も適切なのか迷うこともあると思います。基本的にはどの窓口に相談しても、より適切な施設が他にある場合にはそちらを紹介してもらえるため問題ありませんが、それぞれの役割を正確に把握しておくことでより相談先を探しやすくなります。
発達障害者支援センターは、先述のとおり発達障害のある人やその可能性がある人、家族や周囲の人などを対象に、発達障害に特化した総合的な支援拠点として、地域での相談や支援をおこなっています。
発達障害に関する相談先としては、保健センターや保健所にも窓口がある場合がありますが、基本的な役割は発達障害者支援センターとは異なります。
また、発達障害のある人は、二次障害として精神疾患を抱えるケースもあります。その場合は、精神疾患を専門としている精神保健福祉センターも相談先のひとつとなります。 相談したい内容やお住まいからの便利さなどから、適切な相談先を選ぶとよいでしょう。
市町村における地域保健対策の拠点である
住民に密着した保健サービスを提供する
地域住民の健康づくりを主な役割としている
乳幼児健診や予防接種、成人の健康相談 などが主な業務
地域によっては健康センター、保健福祉センター、母子保健センターなどの名称でサービスをおこなっている場合もあり、全国で2,420ヶ所(令和5年4月1日現在)と数も多いため、より身近で相談がしやすいです。
職場での悩みなど大人の発達障害についての相談も、精神保健福祉相談員、保健師などが対応してくれる場合があります。ご本人・ご家族からの相談が電話や窓口、訪問などで可能です。保健所との連携も密にあり、困りごとが解決できる医療機関や障害者支援施設、精神保健福祉センターとの連携もおこなっています。
主に都道府県や指定都市が設置
地域全体の疾病予防や健康増進などの公衆衛生を担う
食品衛生管理、感染症の予防、自然災害対策 などが主な業務
医療の専門性が高い業務を担っているため、医師、歯科医師、薬剤師、獣医師、診療放射線技師、臨床検査技師、管理栄養士、保健師、精神保健福祉士などの職員が配置されているところもあります。
保健センターと同じように、生活や職場での困りごとを相談できる施設もあり、各支援機関との連携もおこなっています。
精神保健福祉センターは、主に以下のような施設です。
各都道府県に設置することが定められている
心の病気や困りごとについての専門的な相談ができる
こころの病を持つ人の自立と社会復帰を目指し指導・援助する
地域や施設によってサポート内容は異なりますが、精神保健福祉士、公認心理師・臨床心理士、保健師、看護師など専門知識のあるスタッフが相談にのってくれます。ご本人以外の家族や周囲の人からの相談も可能で、保健所との連携もあり医療機関など必要なサポート支援につなげてくれます。
発達障害者支援センターでは、発達障害のある人やその可能性がある人、家族や周囲の人などに対する相談や支援をおこない、必要に応じて各関係機関と連携することで、その人がより豊かな日常生活を送れるようサポートします。
発達障害は、環境の変化などによって特性のあらわれ方や困りごとの内容が変わることもあるため、少しでも気になることがあれば早めに支援につながっておくことが大切です。それによって精神的な負担が軽くなったり、その後も継続的な支援を受けることが可能になったりします。まずは気軽に相談してみましょう。