LGBTとは?仕事や職場環境はどうなっている?LGBTアライとは?LGBTが困りやすいことと、サポートについてお伝えします

2018/03/26
LGBTとは、性的マイノリティ(少数者)を表す総称で、Lesbian(レズビアン),Gay(ゲイ),Bisexual(バイセクシュアル),Transgender(トランスジェンダー)の頭文字からとっています。約13人に1人が当事者に該当すると言われていますが、LGBTの方にとって働きやすい職場とはどんな場所を指し、どのような取り組みがあるのでしょうか?詳しく解説します。

目次

  1. LGBT(Lesbian,Gay,Bisexual,Transgender)とは?
  2. 日本の行政のLGBTに対する取り組み
  3. LGBTの方の職場選びのポイント
  4. LGBTの方の仕事探しについて
  5. 職場においてLGBTが困りやすいことと、サポート
  6. LGBTの方で、働くことに障害がある場合
  7. まとめ

1. LGBT(Lesbian,Gay,Bisexual,Transgender)とは?

出典 : amanaimages
LGBTとは、Lesbian(レズビアン),Gay(ゲイ),Bisexual(バイセクシュアル),Transgender(トランスジェンダー)の頭文字をとった性的マイノリティ(少数者)を表す総称です。

「性」を位置づける3つの要素(性別、性自認、性的指向)

例えば、「あなたにとっての性とは何ですか?」という質問に対して、何と答えるでしょうか?

性と一言でいっても、身体の性別以外にもいくつかの要素があります。具体的にどのようなことがいえるのでしょうか。

これついて、当事者としてLGBTに造詣の深い伏見憲明さん(評論家・小説家)は以下のように答えています。

”性は主に身体上の性別、性自認、性的指向の3つの要素から成り、それらが複雑・多様に組み合わされています。”
参考 : 伏見憲明 「プライベート・ゲイ・ライフ」
現在LGBTなど「性」に関わりのある話題提供の際、この3つの要素(性別、性自認、性的指向)をふまえることが重要なポイントになります。

また、この3つの要素に加えて、「性表現」すなわち見た目の女らしさ、男らしさ、あるいはそのその「らしさ」のゆらぎについても、踏まえる必要があります。

これは学術や医療の場面だけでなく、企業の担当者(人事、CSR、セクシュアルハラスメントの窓口等)、そしてLGBTへの理解と支援に関わる可能性のある全てのひとが理解しておきたい要素といえるでしょう。

性別(sex)について

「性別」とは、出生時に医師によって区別される性別のことをいいます。外性器のある/なしで判断される、身体上の性別のことです。

まれに、見た目では男女の区別がつかない性器であったり、染色体上の性別がXY(男性)XX(女性)とも違うXXYの場合などがあり、これらの場合、医学用語で「性分化疾患(DSD:Disorder of Sex Development)」と呼ばれます。

性自認(gender identity)について

「性自認」とは、自分自身の性を「男性/女性/(あるいは、どちらでもない)」のどれであるとみなすか、ということです。社会的・文化的な意味を含む性、すなわちジェンダーを意味します。

多くのひとにとって身体上の性と性認識は一致していますが、身体上の性別とは別の性別として生きていこうとする人たちもいます。こうした人たちのことを、広くトランスジェンダーと呼んでいます。

そのうち、女性から男性へ性別移行を望む人をFtM(Female to Male)、男性から女性へ性別移行を望む人をMtF(Male to Female)と表記することがあります。

自身の生物学上の性に対して継続的に違和感があり、性別の変更を望んでいる状態のひとを医学上では「性同一性障害」があると定義しています。

性的指向(sexual orientation)について

好きになる人(性愛の対象)が男性/女性/両方の性のいずれなのか、ということです。
多くの人が該当するのは性的指向が異性に向く場合ですが、同性/両方の性を指向する方は、人口比3~10%というデータもあり、非異性愛者は決して珍しくはありません。

また、他者に対して恒常的に恋愛感情や性的欲求を抱かない人をアセクシャル(無性愛)、他者に対しての恋愛感情は有り得たとしても、恒久的に他人への性的欲求を持たない非性愛の性質を持っている人をノンセクシュアル(非性愛者)と呼びます。

同性を好きになる、男性をゲイ/女性をレズビアンといい、両性を好きになる場合をバイセクシュアルといいます。
参考 : SOMPOリスケアマネジメント 「LGBTの基本的知識と職場に望まれる対応」

LGBTの人口

LGBTの人口統計は、民間団体の市場調査によると、日本での総人口比率の8.0%というデータ結果が出ています。「性的少数者」と訳されることもあるLGBT人口も、数字的には決して少数者と切り捨てられない数字です。

また、「同性婚」に関しては、日本でも国勢調査の項目に盛り込むべきだという意見も出されていますが、現状は国内に公的なデータはありません。
参考 : LGBT総合研究所 「LGBT意識行動調査 2016」

LGBTの国際社会における基準とは?

1990年5月17日、WHO(世界保健機構)が、同性愛を「ICD(疾病及び関連保健問題の国際統計分類)」から削除することを決議し、同性愛は治療の対象ではなくなりました。
しかし、つい十数年前までの国際基準では、同性愛が疾患として捉えられていたという事実があるため、当時は治療の対象として精神病棟に入院させられたり、電気ショック、ゲイ矯正キャンプなどがなされていた歴史があります。

WHOが同性愛を疾患の対象外とした現在でも、同性愛を法律で厳しく取り締まる国は、スーダン、イラン、サウジアラビア、イエメンをはじめ数多くあります。同性愛やLGBTに対する基準は、その国の政治や宗教と密接にかかわっています。
参考 : IGLTA 「国際ゲイ・レズビアン協会」

日本の行政のLGBTに対する取り組み

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現在、LGBTの就労に特化した取り組みや、LGBT差別禁止に関する法律の明文化は未だなされていません。

しかし、『男女雇用機会均等法の改正』(2013年12月改正公布、2014年7月施行)は、LGBTの方の就労に関する環境改善として大きな役割を果たしています。

この法案のなかで、「職場におけるセクシュアルハラスメント(以下セクハラ)は同性に対するものも含まれるものであることを明示」とされているからです。異性間のセクハラに加えて、
  • 女性の上司が女性の部下の胸をスキンシップのつもりで触る
  • 男性同士で性的な嫌がらせや噂話をする
以上のようなことがらもセクハラの対象になり、このような場合を「対価型セクハラ」といいます。

また、「まだ結婚しないの」「あいつホモだよ」と発言したり、「あのひと男なの?女なの?」と揶揄することなどを「環境型セクハラ」といい、これら2つのケースはどちらも違反の対象です。
参考 : 厚生労働省 「男女雇用機会均等法施行規則を改正する省令等を公布」

LGBTの方の職場選びのポイント

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現在の日本では、法律上LGBTの方の雇用を義務付ける制度などはありません。

しかし、民間団体が、LGBTへの理解を推進するための評価指標(「PRIDE指標」)を提示するなどの動きもあり、以前よりは企業のLGBTに対する取り組みを客観的に知ることができるようになってきました。

また、LGBTの啓発活動やセミナーなどを専門家を招いて開催する企業も増えており、社員の中にLGBTアライ(支援者・理解者)を増やして、環境を改善しようという向きもあります。

そのため、現在は、LGBTの方が働きやすい環境を積極的に実現しようとする企業が多数存在する、ということができるでしょう。
参考 : work with Pride 「PRIDE指標について」

LGBTの方の仕事探しについて

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現在、日本でLGBTの方が仕事を探す場合、一般的な仕事探しの方法(新卒向け求人情報サイト、ハローワークなど)の他に、『LGBT就活』や『特定非営利活動法人 ReBit』など、当事者専門の就職情報サイトを活用することができるようになっています。
参考 : 特定非営利活動法人 ReBit 「LGBT就活」参考 : 特定非営利活動法人 ReBit 「LGBT就活 | 特定非営利活動法人 ReBit」
専門サイトで職場を探す以外にも、具体的に入りたい企業や職種が決まっていれば、PRIDE指標を採用している企業かどうか、LGBTアライの推進について対外的に発信している企業なのかどうかという視点も含めて、ウェブサイトなどを比較検討してみることも有効です。

「PRIDE指標」について

「PRIDE指標」とは、任意団体 work with Pride(以下略称:wwP)が策定した、企業・団体等におけるLGBTなどの性的マイノリティ(以下、LGBT)に関する取組みの評価指標で、2016年に策定されました。

「会社としてLGBT等の性的マイノリティに関する方針を明文化し、インターネット等で社内外に広く公開している」他、8つの評価項目を設置し、企業のLGBTの方の働きやすさに関わる方針を具体的に示しています。

達成企業へは表彰と公表を行っており、LGBTの方が就職活動で企業を選ぶ際にも、大きな目安となります。
参考 : work with Pride 「PRIDE指標について」

「LGBTアライ(支援者・理解者)」

アライ(ally)とは、「同盟、支援」を語源とし、LGBTの当事者ではない人が、LGBTに代表される性的マイノリティを理解し支援するという考え方をもっている人/考え方そのものを指します。

一般的に、LGBTの方が社内で快適に働くうえでは、このアライの存在がカギを握っていると言われています。カミングアウトする/しないを判断する際も重要です。

しかしアライがいる企業かどうかは、前述のPRIDE指標のように、具体的に数字や項目でわかるわけではありません。当事者にとって、職場にアライがいるか/そうでないかを就職前の面接のタイミングだけで差し測るのは難しいともいえます。

本当の意味での「アライ」とは?

多くの人にとって「知識として知っていること」と、それを「言動や行動に移し、体現すること」は全くイコールではありません。LGBTアライ(支援者・理解者)についても、それと同じことが言えます。

自分の職場の上司がアライであるか、社風がアライを許容する文化であるか、LGBTの方自身が見極め、今後の関係値の構築をどうするか(カミングアウトをするかしないかなど)、考えることが必要な場合があります。

その際、以下の2点がポイントになります。

ある状況に対して「一緒に考えたり、怒ってくれる」存在か?

社会の中には様々なスティグマ(ネガティブな意味のレッテル)があります。

現状あるスティグマに対し、それがアリかナシかの評価をせずに、直接「それはちょっと違うんじゃない?」と向き合う姿勢があるかどうか。つまり、上から目線ではなく、共感の気持ちを持って行動してくれるひとかどうか、それを許容する文化が職場内にあるかどうかが、見極めるポイントのひとつです。

「無意識の偏見」というものに対して、自覚的か?

社会の中にはあからさまな偏見以外にも、多くの偏った見方があり、当事者はその「無意識の偏見」に対して人知れず傷つくことがあります。

例えば、LGBT差別以外でも、テレビなどで特定の身体的特徴(デブやハゲ、チビなど)や、社会的な属性を当たり前のように笑いのネタにしていることがあります。それに対し、職場の人がどんな反応をするのか?アライを見極めるもうひとつのポイントになります。

特に、飲み会の席の話題などで、どのような文化が根付いている組織なのかどうか、伺い知ることができます。論点になるのは<プライベートな質問を、どのようなタイミングで、どの程度してくるのか>です。

「結婚するつもりはあるの?」という質問をすることは、世間話としてよくあることですが、どういう流れでその話を出してくるのか、ということが重要になります。それがどこまで自覚的なのかが、見極めるポイントのひとつです。

職場においてLGBTが困りやすいことと、サポート

出典 : amanaimages

職場でのカミングアウトについて

職場でのカミングアウトは、トランスジェンダー(MtF、FtM等)が47.2%と、カミングアウトしている割合が高い傾向にあります。

一方LGBの場合、レズビアン43%、バイセクシュアル女性28%、ゲイ40%、バイセクシュアル男性33%と、データ上では多くのひとがカミングアウトしている傾向にあると言えますが、その内実は、上司や気の置けない同僚にのみ話しているとも考えられます。

前述のとおり、職場でのカミングアウトを決断するためにはアライの存在が欠かせません。LGBT当事者にとっては会社内にアライが居ないと思われる場合、カミングアウトすることによるマイナス面が大きくなりやすく、リスクが高いといえます。

職場内で、このリスクを下げるためには、カミングアウトしたい人ができる文化的素地の醸成が必要です。もちろん、環境にかかわらずカミングアウトしたくないという選択も取れることが重要で、どちらかを選べる状況が望ましいといえます。
参考 : 虹色ダイバーシティ 「LGBTに関する職場環境アンケート2015」

LGBTにとっての「困難さ」とは?

ここで重要なのは「LGBT」という呼称自体、ムーブメントのあり方として、当事者同士が一緒に社会を変えていこうというところからスタートしているということです。すなわち「困難の種類」からひとまとめに呼ばれた呼称ではありません。

しかし、それぞれの属性に生じる、困難が生じやすい要素自体はあります。

一般的に、LGB(レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル)とT(トランスジェンダー)は、困難の種類を異にしているといわれています。

LGB(レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル)の困りやすいこと

カミングアウトをするか/しないかで不安に思う、戸惑う、ということが挙げられます。LGBは、性別の認識自体は見た目のままで生活できるため、カミングアウトする必然性が本人に感じられなければしないでいられます。実際、LGBで仕事をする人たちの中にはそのことを割り切って職場には隠したままでいる人たちもいます。

しかし、カミングアウトしないということは、プライベートな情報をほとんど隠した状態で職場の人間関係を作らなければなりません。そのため、職場の人たちとの話題に常に緊張を強いられ、コミュニケーションが希薄になりがちで、そのことに対して不安が生じやすいということが挙げられます。

T(トランスジェンダー)の困りやすいこと

カミングアウトの問題の他に、自らが認識している性自認が、外見上第三者から認識されているかどうか、不安が生じやすいことがあげられます。

FtM(心は男性・体は女性)の方の場合は、第三者から男性として認識されているか、その逆のMtF(心は女性・体は男性)の方の場合は、第三者から女性として認識されているかという不安があります。

具体的には、職場内のトイレなどでこの問題が生じやすいです。たとえ社内には理解がある人が大半で特に問題が生じなくても、取引先や、職場のビル内の別のフロアのトイレを使用する場合、困りごとが生じる可能性もあります。

また、会社に入ってから、性別適合手術を具体的に検討している方にとっては、手術で有休を取得できるのか、そのあとの職場環境や待遇に変更が生じないかなどの不安生じることが挙げられます。

LGBT向けサポートは?

困りごとに関して、職場で解決しない場合や、話しにくい内容でどう切り出したらいいのか言葉やタイミングに関して迷っている場合は、働くLGBTの方向けの電話相談窓口もありますので、活用されることをおすすめします。
参考 : 一般社団法人社会的包摂サポートセンター 「よりそいホットライン」参考 : NPO法人 アカー 「動くゲイとレズビアンの会」

LGBTの方で、働くことに障害がある場合

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働くことに障害があると感じるLGBTの方は少なくありません。前述の通り、LGBTであること自体は疾患ではありませんが、まだまだ職場の環境整備が最適に整っているとは言えない部分もあります。

人間関係などの問題で心身に影響が出てうつ病等の精神疾患を発症し、働くこと自体が困難になり、離職や転職を繰り返す、というケースも少なくありません。

一般就労で再度就職活動をすることの他に、就労に困ったときに利用しやすいのが、働くことに障害がある方向けの公的サービスです。

自治体によっては、LGBTの就労支援の専門担当者を配置しているところもあるなど、先駆的な動きも見られます。まずはお近くの福祉行政窓口に、電話等で尋ねてみるのも一つの手です。
参考 : 毎日新聞 「大阪府 LGBT就労支援、当事者が相談員」参考 : OSAKAしごとフィールド 「企業と人が出会う場所 OSAKAしごとフィールド」

就労移行支援サービス

就労移行支援は、障害者総合支援法で定められた障害福祉サービスの1つです。

障害福祉サービスの利用というと、抵抗感のある方も多いかもしれません。しかし、就労移行支援サービスでは、障害者手帳を持っていない方を含め、働くことに障害のある方全般が職業訓練を行うことができます。

就職支援から就職後の職場定着支援まで一貫した支援を受けられ、一般就労等を希望する方(原則18歳以上から65歳未満の身体および知的障害や精神疾患・難病のある方)が利用できます。

身体障害や知的障害以外にも精神障害では、精神疾患の他に発達障害のある方、障害者総合支援法の対象疾病となっている難病等ある
就労移行支援事業所とは?障害がある方の就職に役立つ?対象者や利用料金、利用方法、選び方を解説
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就労継続支援(A型・B型)

就労継続支援(A型・B型)とは、自立や社会参加に向け、知識や能力を向上させるための訓練を行うことです。こちらも障害福祉サービスの1つですが、就労継続支援A型は、事業所と雇用関係を結び、一般就労のように賃金を受け取ることができます。B型では事業所と雇用関係は結ばれませんが、作業等での生産物に対する「工賃」が支払われます。詳しくはお近くの役場窓口でご相談ください。

なお、就労継続支援(A型・B型)の利用には、医師の診断書・意見書、もしくは障害者手帳の提示が必要になります。
就労継続支援A型とは?仕事内容と給料、利用までの流れを徹底解説!(2018年版)
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就労継続支援B型とは?作業内容や工賃の額、対象者、利用手続きなどを解説します(2018年版)
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参考 : 厚生労働省 「就労移行支援」参考 : 厚生労働省 「障害者の就労支援について」

まとめ

出典 : amanaimages
現在、外資系をはじめとする多くの企業で、LGBTがより自分らしく働けるための環境整備が進められています。具体的な行動指針を公式ホームページに掲げるなどの動きがみられるほか、昨今では企業が世に打ち出す広告やPR、商品ラインナップなどのなかに、LGBTに関係する内容を含ませつつ、持続可能的な社会や多様性のあり方について、ポジティブな発信をしている動きも多く見られるようになりました。

「誰もがいきいきと自分らしく働き、最大限の能力を発揮すること」は、個人の生活の充実だけでなく、ビジネスの成長という視点でも欠かすことができません。職場にLGBTアライが増えていくことを含め、LGBTの方への本質的な理解と支援が、益々必要になってきていると言えるでしょう。
参考 : 柳沢正和, 村木真紀, 後藤純一 「職場のLGBT読本」
取材協力: 株式会社Letibee(レティビー) http://letibee.com/

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