うつ病(大うつ病性障害)とは?症状や原因、仕事との関係は?職場のメンタルヘルス対策などについてお伝えします

2018/03/26
うつ病とは気持ちが落ち込み、その感情を抑えることができずいつも通りの生活を送ることができなくなる精神疾患です。日本では約15人に1人がうつ病を経験したことがあるとも言われており、今元気に仕事や日常生活を送っている方でも十分起こりえます。うつ病と仕事について詳しく説明します。

目次

  1. うつ病ってどんな病気?
  2. うつ病の主な症状
  3. うつ病が起こる様々な原因、うつ病の分類
  4. 職場での、うつ病などのメンタルヘルス対策について
  5. うつで仕事が困難な場合
  6. うつ病の方が受けられる可能性のある公的な支援
  7. まとめ

うつ病ってどんな病気?

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「憂うつである」「気分が落ち込んでいる」という気分の変化は、誰しもが経験のあることだと思います。それが喜怒哀楽の感情変化や、単なる浮き沈みのうちであれば問題ないのですが、沈んだ気持ちがいつまでもそのまま続く場合には、注意が必要です。

うつ病とは「著しい気分の落ち込みや意欲の低下などが続き、いつも通りの思考や生活ができなくなる状態」をいいます。

精神疾患であるうつ病は、今元気に仕事や日常生活を送っている方でも十分起こりえます。日本の生涯有病率は7.5%であり、これまでにうつ病を経験した人は約15人に1人という数字も示されており、決して珍しくはない身近な疾患です。
参考 : 厚生労働省 「うつ病を知る」

うつ状態の医学的な分類

「うつ状態」という言葉は、日常的にはなんとなく元気がないという軽い状態から、気分が深く落ち込んでいる状態までも含めて広く用いられます。しかし、精神医学的にはもう少し細かくこの気分が落ち込んだ状態の段階を「抑うつ気分」「抑うつ状態」などと分けています。詳しく見ていきましょう。

抑うつ気分

「憂うつである」「気分が落ち込んでいる」、「悲しい」、「希望がない」、などの気分を、“抑うつ気分“と呼んでいます。

抑うつ状態

抑うつ気分が強まると「抑うつ状態」となり、思考や意欲といった精神機能も低下します。抑うつ気分が続く期間の目安としては、「一日中、ほぼ毎日、2週間以上」です。このような状態が続き、日常生活が大きく制限されるなど、一定の重症度があると判断されるとき、うつ病と呼んでいます。

なお、うつ病の診断書に書かれる病名は、世界保健機関(WHO)が定める『ICD‐10 精神および行動の障害―臨床記述と診断ガイドライン』のコードに準拠して「気分障害」となります。気分障害には、うつ病、双極性障害、気分変調症障害が含まれます。
参考 : 厚生労働省 「みんなのためのメンタルヘルス」参考 : ICD-10コード 「うつ病」

うつ病の主な症状

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うつ病の症状には、精神症状(こころ)と身体症状(からだ)に大きく分けられます。それぞれ代表的なものを中心に紹介します。

こころのサイン 精神症状

持続的な抑うつ気分

うつ病の代表的な症状です。症状として、気分がひどく落ち込む、憂うつ、ひどく不安になる、落ち着かない、イライラするなどの抑うつ気分が持続する、ということがあげられます。症状の多くは朝方が最もひどく、夕方になると少し良くなるという傾向があります。

意欲の低下

何事にもやる気をなくしてしまいひきこもりがちになったり、趣味などに対してこれまでと同じような興味がもてなくなります。意欲の低下が進行すると日常生活に支障が出るようになり、外出や家族以外の交流をしなくなる傾向があります。

また、外に出られない症状が進むにつれて、罪悪感などを感じ自分自身を責めてしまうようになります。

思考・行動の制止

物事に集中することができなくなり、注意力・判断力が低下し、決断したり行動したりすることが難しくなります。これによって、普段できていたことができなくなる、感情の動きが小さくなる、自己評価の低下、自分を責めてしまう、不安・焦燥感、妄想、自殺願望などの症状が現れやすくなります。

からだのサイン 身体症状

全身のだるさ・疲れやすさ

激しい運動をしていないのに、全身がだるく感じられ、疲れやすくなります。この疲労感は休憩しても回復せず、慢性化することが特徴です。

睡眠障害

うつ病のほとんどの人が睡眠障害になります。代表的な症状としては、不眠(眠れない/眠ってもすぐに目が覚める/早く目が覚めてしまうなど)が全体の8割、過眠(寝ても寝足りない)が2割を占めます。

食欲低下とそれに伴う体重低下

食欲低下もほとんどのうつ病がある人が経験します。味覚が分からなくなることで、食事の楽しさを感じることができなくなるなどの症状が出ます 食欲低下に伴い、人によっては体重が大幅に減少することがあります。

思い当れば、早めの受診を

長期間気持ちの落ち込みが続き、日常生活に支障をきたす場合は、一度うつ病の可能性を考えてみて、心配な場合は医療機関を受診しましょう。

相談先

気分が上がらず憂鬱な気分のまま数週間が経ってしまったり、逆にテンションの上がり下がりにムラがあり不安を感じる場合は以下の行政機関に相談するか、医療機関の受診をおすすめします。

全国精神保健福祉センター

全国精神保健福祉センター

各県、政令市にほぼ一か所ずつ設置されている、保健・精神保健に関する公的な窓口です。精神保健福祉に関する相談をすることができます。

精神科医、臨床心理技術者、作業療法士、保健師、看護師などの専門職が配置されています。相談については、施設によって予約が必要な場合や健康保険の適用が可能なところがあります。詳細は、それぞれのセンターにお問い合わせください。
参考 : 厚生労働省 「全国の精神保健福祉センター一覧|メンタルヘルス|厚生労働省」

心療内科

心と体、それだけでなく、その人をとりまく環境等も考慮して扱う科です。前述の精神症状だけでなく、ほてりや動悸などの身体症状、また社会的背景及び家庭環境なども考慮して治療を行います。

精神科

主に精神疾患、すなわちこころの不調についての診療を行います。うつ病や双極性障害といった気分障害の他にも、統合失調長、睡眠障害、依存症、不安症なども含まれます。具体的な症状としては不安、抑うつ、不眠、イライラ、幻覚、幻聴、妄想などの症状を扱います。

精神科、心療内科どちらに行ったらいいか迷う方もいらっしゃるかもしれませんが、うつ病の場合は精神科を受診しても、心療内科を受診してもどちらでも大丈夫です。

うつ病が起こる様々な原因、うつ病の分類

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うつ病の発症には、主に性格、ストレス、生物学的要因が大きく関与しているといわれています。近年の研究で、性格や遺伝性のみでうつ病になることはあまりないとされており、多くの場合、様々な要因が組み合わさって発症すると考えられています。

原因からみて心因性、外因性、内因性と分けることができます。

心因性うつ病

心因性うつ病とは、性格や環境がうつ状態に強く関係しており、うつ病と診断される多くの場合これに該当します。性格、ストレス、生物学的要因が組み合わされてうつ病が起こる場合です。抑うつ神経症(神経症性抑うつ)と呼ばれることもあります。

心因性うつ病の生物学的要因について

心因性うつ病の場合、抗うつ薬が処方されることが多く、比較的効果が表れやすいとされています。

うつ病になる仕組みはまだ完全には解明されていませんが、神経伝達物質の中のモノアミン類(セロトニン、ノルアドレナリン、ドーパミンなど)が関わっていると考えられています。

過剰なストレスや過労などが引き金となって、神経伝達物質のうち、セロトニン、ノルアドレナリン、ドーパミンの量が減少したり、はたらきが低下してくると、さまざまなうつ病の症状があらわれるのではないかといわれています。

性格について

主にきまじめな性格や、社交的な反面気が弱い性格の人がうつ病になりやすいと言われています。熱心に仕事に打ち込み、責任感が強くすべてのことに対して正直に取り組む人や、親しみやすくいい人として周囲からは見られるが、実は気が弱いために他者を優先させてしまう一面を持つ人が例として挙げられます。

性格がうつ病の原因となる理由として、きまじめな性格により身の回りに起こる出来事をより重く受け止めてしまう傾向があることが挙げられます。深く考えすぎてしまうために、その出来事がストレスとなったり、対処しきれなくなるまで抱え込んでしまうのです。

ストレスについて

近親者の死亡、病気、家庭内のトラブル、出産、結婚・離婚、会社の人事異動や転勤、仕事上のトラブル、過労などさまざまなストレスがうつ病の発症の大きな誘因となっているという研究結果が出ています。

環境の影響が強い場合は反応性うつ病と呼ばれることもあります。

外因性あるいは身体因性うつ病

身体因性うつ病とは、アルツハイマー型認知症のような脳の病気、甲状腺機能低下症のような体の病気、副腎皮質ステロイドなどの薬剤がうつ状態の原因となっている場合をいいます。

内因性うつ病

内因性のうつ病とは、遺伝や体質などの要因が関係すると言われていますが、明らかな原因が特定できないことも多いうつ病です。内因性うつ病の場合は脳内の情報伝達に異常が見られることが示唆されており、抗うつ薬の効果が比較的表れやすいとされています。

双極性障害の可能性も

一方、うつ症状の後に躁状態がある場合は、双極性障害と呼ばれ、うつ病とは薬の処方なども異なります。

抑うつ状態の初期段階で受診した場合、双極性障害/うつ病(大うつ病症候群)いずれかであることを見分けることは、経験を積んだ医師であっても難しいようです。うつ病と診断され、処方された薬の効果がみられにくい場合や、病状が改善せず躁状態に転じてしまった場合などは、双極性障害の可能性もあるので再度医師に相談しましょう。

職場での、うつ病などのメンタルヘルス対策について

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職業生活等において強い不安、ストレス等を感じているひとは、日本で働く人全体の6割にものぼっている、というデータがあります。

また、メンタルヘルス上の理由により連続1カ月以上休業したり、退職した労働者がいる事業所は7.6%と、決して少なくありません。

厚生労働省は、これらの状況を踏まえ、以下のような対策を行っています。
参考 : 厚生労働省 「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き p2」

ストレスチェック制度

現在、日本ではうつ病などのメンタルヘルスの改善に関して、公衆衛生の観点から取り組みがなされています。

平成27年12月に施行され実施されている「ストレスチェック制度」がそれにあたります。同年の「労働安全衛生法」改正により、労働者が 50 人以上いる事業所では、毎年1回、この検査を全ての労働者に対して実施することが義務付けられています。

このコラムを読まれている方で、会社でストレスチェックを受けたことがあるという方もいらっしゃるでしょう。

ストレスチェックは定期的に労働者のストレスの状況について検査を行い、質問票(選択回答)に労働者が記入し、それを集計・分析をします。

メリットとしては、働く人自身がストレスの状況について気付くことができ、不調のリスクが減らせることと、職場環境の改善につながることが挙げられます。
参考 : 厚生労働省 「ストレスチェック制度導入について」参考 : Exposure to job stress 「A new psychometric instrument」

産業医について

産業医は、労働安全衛生法に基づき、従業員が50人を超えた事業場には1人、3001人を超えた規模では2人の産業医を選任しなければならないことが決められています。

しかし、普段会社勤めをしている方でも、産業医の姿を日常的に見かけるということはほとんどないはずです。というのも、産業医の多くは兼業で行っている場合が多く、普段は病院やクリニックに勤務する医師が、月に一度産業医先を訪問しているというケースが多いからです。

現在、産業医活動は福利厚生の側面だけでなく、企業の健康リスク低減や安全配慮義務へのアドバイザーという側面が強くなってきています。

健康相談や、休職・復職に際しての面談を行ってくれます。前述のストレスチェックについても産業医が中心となって実施されます
参考 : 日本医師会認定産業医 「産業医とは|日本医師会・認定産業医サイト」

うつで仕事が困難な場合

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職場への報告と相談

病院を受診し、うつ病であると診断された方は、なによりも治療が先決です。

現在仕事をしている方は、医師から診断書を書いてもらいます。病状と併せて、仕事の継続に関する所感(業務遂行の可否)を記載してもらいましょう。

診断書の内容を基に、会社員の方の場合、上司にうつ病であることを報告し、休職の相談も含めて話しましょう。

うつ病告知を受け、職場の方が気を付けたいこと

うつ病は、骨折や怪我のようには外からは見えない病気です。そのためうつ病の方の訴えに対し「ただ怠けているだけ」「甘えているだけ」と反応するひともいますが、これは大きな誤解です。逆にこのような心無い発言があった場合、うつ病の方の症状を悪化させることもあります。

冒頭でも触れたように、うつ病は様々な因子が重なれば誰にでも起こりえる病気です。治療の手立てもあり、時間をかけて治すこともできます。そのような基礎的な知識に基づいて、うつ病の方とコミュニケーションするように心がけましょう。

休職~職場復帰のプロセス

①病気休業開始及び休業中のケア

うつ病がある方は、管理監督者(上司など)に主治医による診断書(病気休業診断書)を提出してください。管理監督者より、人事労務管理スタッフ等に連携します。

そのあとで上司から必要な事務手続きや職場復帰支援の手順が説明されます。病気休業期間中に安心して療養に専念できるよう、以下のような情報提供がしっかりとおこなわれます。

・傷病手当金などの経済的な保障
・不安、悩みの相談先の紹介
・公的または民間の職場復帰支援サービス
・休業の最長(保障)期間等

②主治医による職場復帰の判断

うつ病のある方から事業者に対し職場復帰したい旨が伝えられると、事業者は働く側に対して主治医による職場復帰が可能という判断が記された診断書の提出を求めます。診断書には就業上の配慮に関する主治医の具体的な意見を記入してもらいます。

主治医からは、日常生活での病状の回復から職場復帰がどの程度大丈夫なのか、仮説が立てられている場合が多いです。

③職場復帰の可否の判断及び職場復帰支援プラン

安全でスムーズな職場復帰のために、事業者は職場復帰を支援するための具体的なプランを作成します。事業所内の産業保健スタッフ等を中心に、管理監督者、休業中の方の間で連携し進められます。

④最終的な職場復帰の決定

上記のステップを踏まえて、最終的な職場復帰を決定します。
参考 : 厚生労働省 「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引」

リワーク

リワークとは、return to work(職場復帰)を縮めた造語です。気分障害(うつ病など)の精神疾患を原因として休職している労働者に対し、職場復帰に向けたリハビリテーションを実施する機関で行われているプログラムです。復職支援プログラムや職場復帰支援プログラムともいいます。

1人で復職に向けてリハビリを行うときに不安を感じる場合は、主治医に相談してリワークプログラムを紹介してもらうとよいでしょう。

会社へ通勤することを想定した訓練や、仕事に近い内容のオフィスワークや軽作業、復職後にうつ病を再発しないための疾病教育や認知行動療法などの心理療法が行われます。うつ病で療養後、久しぶりの集団生活に戸惑っている方向けには、集団生活になれるための軽スポーツやレクレーションが行われたりもします。

うつ病は再発性もあるため、職場復帰期の方にとっては「復職した時に同じ状況(休職)にならないか」という不安も常に付きまといます。プログラムの途中では、休職になった時の働き方や考え方を振り返ることで休職に至った要因を確認するなどの項目もあるので、再発防止に寄与します。

医療機関で実施(医療リワーク)

医療機関で行い、復職支援に特化したプログラムが実施され、再休職の予防を最終目標として働き続けるための病状の回復と安定を目指した治療です。

精神科デイケア、精神科ショートケア、精神科デイ・ナイト・ケア、精神科作業療法、通院集団精神療法などが、この「医療リワーク」にあたります。

医師、看護師、精神保健福祉士、作業療法士、心理職などによる医学的リハビリテーションとして実施します。健康保険制度や自立支援医療制度を利用でき、費用の一部自己負担があります。

地域障害者職業センター(職リハリワーク)

独立行政法人高齢・障害・求職支援機構により各県に1カ所以上設置されている地域障害者職業センターが実施しています。

職場復帰支援(リワーク支援)の名称で、センターの職業カウンセラーが、休職者本人と雇用主、主治医をコーディネイトして三者の合意を支援し、12~16週の職業リハビリテーションを実施します。

目的は職場への適応に向けた本人と雇用主への支援であり、病状を回復させるための治療ではない点が医療機関のプログラムと大きく違います。費用は無料です(ただしリワーク支援は雇用保険被保険者として雇用されている方を対象としているため、公務員は対象外です)

企業内で実施(職場リワーク)

前述の「休職~職場復帰のプロセス」、すなわち企業内で行われる復職支援のためのプログラム自体を職場リワークと呼ぶことがあります。

正式な職場復帰決定の前に、社内制度として試し出勤制度を設けるように設けているところもあります。休業していた方の不安を和らげ、ご自身で職場の状況を確認しながら、復帰の準備を行うことができます。
参考 : 日本うつ病リワーク協会 「うつ病リワーク研究会/うつ病リワーク研究会について」

うつ病の方が受けられる可能性のある公的な支援

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うつ病の症状が原因で働くことができないと、収入が減ってしまうだけでなく病気の治療代も支払わなければならないため、経済的な困窮に陥る方もいます。その対策としていくつかの公的支援があります。

以下では、うつ病の方が利用できる可能性のある公的支援を紹介します。

就労移行支援

一般企業等への就労を目指す障害や疾患のある方が、働くための知識や能力を身につけることができる就労支援サービスです。事業所によってサービス内容は異なりますが、主なものは職業訓練、就職活動のサポート、職場定着支援の3つです。

職業訓練ではビジネスマナーやコミュニケーショントレーニング、パソコントレーニングなどを行い、就職活動のサポートとしては面接の練習や履歴書の書き方指導などを行います。そして、無事に就職した後もスタッフが職場定着支援を実施。就職前から就職後まで、一貫してサポートしてくれるのが特徴です。

学校のように、毎週決まった日時に事業所に通って利用することになります。働いている場合は利用できません。利用する場合は市区町村の障害福祉窓口で申し込みをします。LITALICO仕事ナビでは全国の就労移行支援事業所を掲載しており、ご自身にぴったりの事業所を探すことができます。
就労移行支援事業所を探してみよう

障害年金

年金の障害給付、障害基礎年金ともいいます。障害が認められれば、年金が早期から支払われます。

精神障害者保健福祉手帳

税金の減額や、自治体によっては公共交通機関が無料で利用できるようになります。患者さんの状態に応じて等級が決まり、その等級にあった福祉サービスが受けられます。また、病状に応じて、企業の障害者雇用枠での就労という選択肢を広げることもできます。

自立支援医療

精神科の病院やクリニックなどに通っている場合、支払った医療費の一部が補助されます。また、低所得世帯に対しては医療費負担軽減措置が設けられていいます。高額治療継続者であれば、一定の負担能力がある場合でもひと月の上限が設定されます。

生活保護

精神疾患に限らず、病気やけがなどを理由に働くことができず、収入がない、もしくは不十分である場合に最低限度の生活を保障する制度です。

患者の会

また、うつ病の患者さんやその家族によって成る互助団体もあります。当事者同士でしか話せない悩みの相談をしたり、治療や支援を受ける方法についての情報交換なども行われているようです。
参考 : 東京うつ病友の会 「東京うつ病友の会 うつ病・双極性障害・気分障害の自助グループ」参考 : NPO法人ノーチラス会 「NPO法人ノーチラス会 特定非営利活動法人日本双極性障害団体連合会(JABD)」参考 : 関東ウェーブの会 「関東ウェーブの会 -関東躁うつ病当事者会 since2006-」参考 : 双極性障害(双極症)全国自助会カレンダー 「自助会 | 双極性障害(双極症)全国自助会カレンダー(66)集会・ 患者会・当事者会・自助グループ・自助会・オフ会・サークル・ノーチラス会」

まとめ

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うつ病は誰にでも起こりうる病気ですが、目に見えない疾患です。

それゆえ本人にとっては抑うつ気分や抑うつ状態と区別がつきにくかったり、医療機関を受診するのに抵抗がある方も多くいます。しかし、問題は本人に気づきが促されにくいという点だけではありません。仮にうつ病と診断された場合であっても、職場で一緒に働いている人から単に怠けていたり甘えているだけと誤解をされれば、それが病状悪化の引き金になることもあります。

前述の通り、うつ病は薬物治療に加え、環境改善など病気とうまく付き合っていく手立てが確実に存在します。職場の方々やご家族の方を含め、周囲の協力がとても大切です。

ご自身もうつ病を患った経験のある、漫画家の田中圭一さんは、うつ病を脱した方の体験談をまとめた漫画『うつヌケ』のなかでご自身の体験を以下のように綴っています。
それは、コンビニの文庫本売り場でたまたま見つけた本でした。「うつ病解消の本?」(中略)そこにはボクが思ってもいなかったうつの「正体」が書かれていたのです(中略)。10年にもわたってボクを苦しめてきたもの正体がついにわかりました。自分に合わない職場で無理してがんばる→うまくいかず「自分を嫌い」になってゆく→すると嫌われた体(や脳)は心に対して反抗する この「症状」こそ「これ以上ムリするな」と体が発するアラートだったんです!!
引用 : 田中圭一 「うつヌケ-うつトンネルを抜けた人たち」
ー田中さんは病気に対する知識を得ることで、病気の改善に取り組み、また転職することで「うつヌケ」をしました。田中さんのように転職が最善の方法だとわかり、段階的に症状が良くなる方もいます。

しかし、うつ病を発症するストレス源は人それぞれ違います。本コラムにあるように、もし今の仕事がうつ病によって続けられず、仮に一度休職したとしても、「同じ職場に復職したい」という意思があり、職場とも合意形成がとれていれば、リワークプログラムなど、復職に向けてゆっくりとアクセルを踏んでいける社会資源が整備されています。また、相談機関や公的支援もいくつかあります。ご本人が連絡が辛い場合は、職場の方やご家族の方の力を借りるなどして、これらのサービスを活用されることをおすすめします。
監修 : 増田史
精神科医、医学博士
慶應義塾大学 精神・神経科学教室 特任助教
滋賀医科大学 精神医学講座 客員助手

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