障害年金とは、障害や病気によって生活や仕事に支障がある場合に受け取ることができる年金です。
受給要件を満たしていれば、年金とついていますが、高齢の人だけでなく現役世代の人も含めて受け取ることができます。障害者手帳の有無に関わらず、日常生活や仕事に支障があるかどうかで支給が判断されます。
障害の原因となった病気やケガについて、初めて医師などの診療を受けた日(初診日)に厚生年金・共済年金に加入していた場合に請求できる
初診日に、国民年金に加入していた場合、または20歳未満(国民年金に加入前)もしくは60歳以上65歳未満(年金制度に加入していない期間で日本に住んでいる間)の場合に請求できる
受給にはさまざまな条件がありますが、障害の状態に応じて障害等級が定められており、その等級や加入している年金の種類、世帯内の子どもの人数などによって受給金額が異なります。
認定される等級はその人により異なり、個別に判断されるため、あくまでも参考程度にご確認ください。
家族やヘルパーなど、他人の介助を受けないと日常生活が難しい
活動の範囲がベッドの周辺に限られる
身の回りのことはかろうじてできてもそれ以上の活動は困難、または行うことを制限されている
必ずしも他人の助けを借りる必要はないが、日常生活を送ることが困難
活動範囲が病院や家庭内に限られる
働いて収入を得ることができないような状態
家で軽食を作ったり、食事後の皿を片付けたりするなどの簡単な身の回りのことはできても、それ以上重い活動はできない、または行うことを制限されている
日常生活ではほとんど支障がなく、就労で制限がある場合もあるが、就労や生活に一定程度制限や困難がある
3級は障害厚生年金のみの等級で、障害基礎年金にはありません。そのほか詳しい受給要件などについては以下の記事をご参照ください。
※障害年金は条件を満たす人が受給できる年金です。一般的に使用されることの多い「障害年金をもらう」という表現で情報を探す方もいるため、この記事では、「障害年金を受給する」という表現に加え「障害年金をもらう」という表現を一部で使用しています。
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前述の通り、障害年金には「障害基礎年金」と「障害厚生年金」があり、これらの組み合わせによって、受給できる金額や計算方法が異なります。
※この記事では2025年4月現在の情報を元に、金額や計算方法をご紹介しています。
ケース1:初診日よりも前に厚生年金に加入していて、等級が1級・2級の場合
障害厚生年金の受給要件を満たし、かつ障害の状態が障害基礎年金の1級または2級の受給要件に該当する場合は、「障害基礎年金」と「障害厚生年金」をどちらも受給することができます。
ケース2:初診日よりも前に厚生年金に加入していて、等級が3級の場合
障害の状態が障害厚生年金受給要件の2級に該当しない場合は、3級の「障害厚生年金」のみが受給できます。
ケース3:初診日よりも前に国民年金に加入していて、等級が1級・2級の場合
障害基礎年金の受給要件を満たし、障害の状態が1級または2級の受給要件に該当する場合は、「障害基礎年金」を受給することができます。
初診日に退職などで厚生年金に加入しておらず、その後厚生年金に加入した場合もこれに該当します。
また、20歳未満(国民年金に加入前)、もしくは60歳以上65歳未満(年金制度に加入していない期間で日本に住んでいる間)に初診日がある場合も、受給要件を満たすと「障害基礎年金」を受給できます。
障害厚生年金を受けるためには、厚生年金・共済年金の加入中に初診日がある以外にも、複数の受給要件を満たしている必要があります。
初診日が特定できること
定められた期間、保険料が納付されていること
「障害認定基準」によって定められた、一定の障害の状態であること
条件の詳細など、詳しい情報については以下をご参照ください。
障害基礎年金の計算方法と金額の例を紹介します。実際の支給額とは異なる場合がありますので、あくまでも参考としてください。
※2025年4月現在の情報を元に、計算方法や金額をご紹介します。
※年齢によって受給金額が変わる場合があります。この記事では、例として就労世代が受給できる金額を記載しています。
1,039,625円 + 子の加算額(67歳以下の場合)
831,700円 + 子の加算額(67歳以下の場合)
この場合の「子ども」とは、18歳になった後の最初の3月31日までの子、または20歳未満で障害等級1級か2級の障害の状態にある子です。
また、令和3年3月分から、児童扶養手当の受給者やその配偶者が障害年金を受給している場合、児童扶養手当の額が子の加算の額を上回るときには、その差額を受給できるようになりました。詳しくは、お住まいの市区町村窓口へ確認しましょう。
20歳前の傷病によって障害基礎年金を受給する場合は所得制限がある
20歳より前に初診日がある場合は、年金の加入が条件となっていないため、障害基礎年金の支給額に制限や調整があります。
●前年所得額が472万1000円以上の場合:全額支給停止
●前年所得額が370万4000円以上の場合:2分の1の額が支給停止
所得制限の「所得」とは、収入から必要経費を差し引いた金額です。
例えば年収が480万円なので全額支給停止、というわけではありません。
年収から給与所得控除(この場合の控除額は480万円×20%+44万円=140万円 ※参考:国税庁「No.1410 給与所得控除」)を引いたものが所得となります。よってこの場合、給与所得は340万円(年収480万円-給与控除額140万円)であり、年金を受給できます。 10月分から翌年9月分が所得制限の計算対象期間です。支給額は1年ごとに判定されるため、収入が減ったときは、翌年から支給が再開、または支給額が変更になります。
受給金額の計算には、上記以外にも詳細な条件があります。以下のWebサイトを確認するか、お住まいの地域の年金事務所に問い合わせするとよいでしょう。
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(報酬比例(※)の年金額)×1.25 +〔配偶者の加給年金(239,300円)〕
※報酬比例:年金の加入期間や過去の給料や賞与などによって決まり、定められた計算式があります。
(報酬比例の年金額)+〔配偶者の加給年金(239,300円)〕
報酬比例の年金額または最低保障額623,800円(67歳以下の場合)
年金の加入期間やこれまでの収入によって金額が変わる
障害厚生年金の基礎となるものが「報酬比例」です。報酬比例は、年金の加入期間や加入していたときの収入などによって決まります。報酬比例部分の計算方法の詳細は、以下のWebサイトで確認ができます。
65歳未満の配偶者がいる場合は239,300円加算して支給される
障害厚生年金を受給する人に、生計を維持されている65歳未満の配偶者がいる場合は、239,300円が加算されます。これを「加給年金」といいます。
障害の程度が3級よりも軽い状態の場合「障害手当金」が支給される
初診日から5年以内に病気やけがが治り、障害厚生年金の1~3級の状態を満たさない障害がある場合、障害手当金(一時金、継続して支給はされない)を受給できる場合があります。
金額は、報酬比例額の年金額の2倍、もしくは最低保障額(※)のどちらか高い方が支給されます。※67歳以下:623,800円、68歳以上:622,000円
障害基礎年金と同様に、受給や金額の計算には、上記以外にも詳細な条件があります。以下の記事やWebサイトを確認するか、お住まいの地域の年金事務所に問い合わせするとよいでしょう。
「夫婦と子ども2人」という家族構成を例に、障害年金がどのくらい受給できるのかの試算をご紹介します。あくまでも試算であるため、ご自身が受給できる金額は年金事務所や年金相談センターに確認しましょう。
家族4人(夫・妻・子ども2人)
夫は会社員で厚生年金に加入
平均標準報酬額:30万円
年金の加入年数:13年
(加入月が13年×12か月=156月となり300月未満のため、加入期間は300月として計算)
1級の場合:年額2,374,137円/月額197,844円(障害基礎年金1級+障害厚生年金1級)
2級の場合:年額2,042,890円/月額170,240円(障害基礎年金2級+障害厚生年金2級)
3級の場合:年額623,800円/月額51,983円(障害厚生年金3級)
(報酬比例の年金額:300,000(平均標準報酬額)×5.481/1,000×300(加入月)=493,290円)
※1 障害厚生年金3級の最低保障額を適用(昭和31年4月1日以前に生まれた方は622,000円)
障害年金を受給するための、請求手続きは以下の通りです。
初診日を確認し、年金事務所、年金相談センター、または役所に相談する
年金請求書を相談先の窓口に提出する
年金証書、年金決定通知書などが日本年金機構から自宅に届く ※受給できない場合は、不支給決定通知書が届く
年金証書の到着から約1~2ヶ月後に年金の振り込みが開始
障害基礎年金はお近くの年金事務所や年金相談センター、お住まいの市区町村窓口で手続きができます。障害厚生年金はお近くの年金事務所や年金相談センターのほか、共済組合などで受け付けています。
請求に必要な書類など、詳しい情報については以下の記事をご参照ください。
障害年金の受給金額は、加入している年金の種類や家族構成、障害等級などによって一人ひとり異なります。請求の際は、障害の原因となった病気やけがの初診日がいつであるかが重要になります。
障害基礎年金と障害厚生年金、それぞれの計算式もご紹介していますので、おおよその受給金額の把握にお役立てください。
実際の受給金額は、詳細な受給要件や計算方法があります。お住まいの年金事務所や年金相談センターに相談したり、社労士に相談してみるのも良いでしょう。