合理的配慮とは?障害のある人の権利と事業者の義務、職場における合理的配慮の具体例を紹介します

2018/03/26
合理的配慮とは、障害のある人が障害のない人と平等に人権を享受し行使できるよう、一人ひとりの特徴や場面に応じて発生する障害・困難さを取り除くための、個別の調整や変更のことです。日本では、障害者差別解消法や改正障害者雇用促進法において、事業者に対して合理的配慮の提供義務が課されました。この記事では合理的配慮の考え方やその背景を概観するとともに、働く場面における合理的配慮の具体例や実施プロセスを紹介していきます。

目次

  1. 合理的配慮とは?
  2. 合理的配慮普及の背景ー国際条約の批准と国内法整備
  3. 国内法における合理的配慮ー事業者に課せられた義務は?
  4. 合理的配慮実施のプロセス
  5. 就労場面(労働・雇用)における合理的配慮
  6. 障害種別ごとの、職場での合理的配慮事例
  7. 合理的配慮からユニバーサルな環境づくりへ
  8. まとめ

合理的配慮とは?

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合理的配慮とは、障害のある人が障害のない人と平等に人権を享受し行使できるよう、一人ひとりの特徴や場面に応じて発生する障害・困難さを取り除くための、個別の調整や変更のことです。

その人が直面している困難や周囲の環境に応じて、必要な合理的配慮は異なりますが、わかりやすい具体例としては、以下のようなものがあります。
人には、ひとりひとり違った個性があり、誰もが平等に幸福を追求する権利を持っています。ですが、社会で暮らし、働いていく上で、特定の個性や心身の症状を持っている人にとって、生きづらい状況がまだまだ残っているのが現状です。

そうした困難や障害のある人であっても、周りの環境を整えたり、適切なサポートをしたりすることで、これまでできなかったことが、できるようになることがあります。合理的配慮は、障害がある人であっても、障害のない人と同様に社会活動に参加し、自分らしく生きていくための、必要な調整をするという考え方です。


合理的配慮は、「障害者の権利に関する条約」(以下、障害者権利条約)第2条では以下のように定義されています。
障害者が他の者との平等を基礎として全ての人権及び基本的自由を享有し、又は行使することを確保するための必要かつ適当な変更及び調整であって、特定の場合において必要とされるものである。
引用 : 外務省 「障害者権利条約」
日本でも、同条約の批准にあたって、障害者雇用促進法の改正や、障害者差別解消法の施行がなされ、企業等の事業者に対して合理的配慮提供義務が明文化されるようになりました。

障害のある当事者にとっては、障害のない人と対等に教育や就労の機会を得るために必要なサポートが得られやすくなっていくと期待されます。

この記事では、合理的配慮普及の背景や、その考え方、実施プロセスについて触れながら、主に就労における合理的配慮を中心に解説・紹介していきます。

合理的配慮普及の背景ー国際条約の批准と国内法整備

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合理的配慮の具体的なプロセスや事例に入る前に、障害のある人への差別の解消、権利保障に向けた国際的な潮流と、日本における法整備の過程を確認しておきましょう。

「合理的配慮」という考え方が世界的に普及してきた背景として、2006年に国連総会で採択された障害者権利条約の存在が重要です。この条約の第2条において、「障害に基づく差別」が次のように定義されています。
「障害に基づく差別」とは、障害に基づくあらゆる区別、排除又は制限であって、政治的、経済的、社会的、文化的、市民的その他のあらゆる分野において、他の者との平等を基礎として全ての人権及び基本的自由を認識し、享有し、又は行使することを害し、又は妨げる目的又は効果を有するものをいう。障害に基づく差別には、あらゆる形態の差別(合理的配慮の否定を含む。)を含む。(障害者権利条約 第2条)
引用 : 外務省 「障害者権利条約」
ここで重要なのは、「合理的配慮の否定」も「障害に基づく差別」であると定義されたことです。つまり、「障害のある人に必要な配慮を、出来るのにやらないことは、差別だ」ということが明確に示されたわけです。

同条約が策定される過程では、障害のある当事者や支援団体が積極的に議論に参加したことも重要です。

”Nothing about us without us.”(私たちのことを抜きに私たちのことを決めないで)という合言葉とともに、障害のある当事者は、周囲から単に保護をされる「客体」ではなく、自分たちで生き方を選び取っていく「主体」であるという意思を発信していきました。

こうした背景のもと条約に定義づけられた合理的配慮は、配慮を必要とする当事者の意思表明や、具体的な個人や場面に合わせた個別の対応が重要視されています。

日本は同条約に2007年に署名したのち、条約で宣言されている「障害に基づく差別」を禁止するための適当な措置が取られるよう、障害者差別解消法の制定、障害者雇用促進法の改正等を行った上で条約に批准しました。

以下が日本における国内法整備と条約批准のプロセスです。

2006年12月 国連総会にて障害者権利条約が採択 
2007年9月  日本が障害者権利条約に署名
2013年6月  障害者差別解消法の制定、障害者雇用促進法の改正
2014年1月  日本が障害者権利条約を批准
2016年4月  障害者差別解消法の施行

国内法における合理的配慮ー事業者に課せられた義務は?

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合理的配慮の対象となるのは?

日本国内において、合理的配慮を受けられる「障害者」とは、どのように定義されているのでしょうか。「障害者差別解消法」の以下の記述に注目しましょう。
身体障害、知的障害、精神障害(発達障害を含む。)その他の心身の機能の障害(以下「障害」と総称する。)がある者であって、障害及び社会的障壁により継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にあるものをいう。
引用 : 内閣府 「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律 第一章 第二条 一」
ここで重要なのは「障害及び社会的障壁」という文言です。個人の心身の機能障害だけでなく、社会の制度や環境が障壁となって、その人の生活に障害をもたらしているとする、障害の「社会モデル」という考え方を反映しています。

障害者差別解消法の中では、法が合理的配慮の対象とする障害者は、障害者手帳の所持者に限られてはいません。

医師の診断や障害者手帳の保持、障害者雇用枠での就労など、その人になんらかの「障害」があることを示す制度やカテゴリーに該当する方はもちろん、そうではないが、様々な社会障壁によって実質的に障害がもたらされている方も、合理的配慮の対象であると考えられています。

障害のある方一人ひとりが、具体的にどんな困難に直面しているかということに注目し、必要な配慮を考えていくことが大切です。

障害者差別解消法で事業者に課せられる義務は?

国際条約の批准に際して日本で制定・施行された「障害者差別解消法」では、行政機関や民間企業等の事業者に対して、「障害を理由とした不当な差別的取り扱いの禁止」と「合理的配慮の提供義務」が課されています。

まず、障害があることを理由として入店や入社を断るなど、「不当な差別的取り扱い」は、行政機関・民間事業者を問わず、法的に禁止されています。

一方、「合理的配慮」の提供義務に関しては、国や地方の行政機関は法的義務であり、民間事業者は努力義務となっています。

それぞれの違いについては以下の図をご参照ください。
注1) このため、学校教育現場における児童生徒に対する合理的配慮は、公立学校であれば法的義務となるものの、私立学校であれば努力義務にとどまります。

注2) 民間事業者についても注意が必要です。サービス利用者に対しての合理的配慮は努力義務であるものの、みずからが雇用した労働者に対しての合理的配慮は法的義務となることが、厚生労働省の指針にて定められています。
参考 : 厚生労働省 「改正障害者雇用促進法に基づく障害者差別禁止・合理的配慮 に関する Q&A p.7, A1-2」

合理的配慮を提供しないことによる罰則はあるの?

障害者差別解消法や障害者雇用促進法で示される合理的配慮の提供義務について、提供しないことに対する具体的な罰則が示されているわけではありません。

合理的配慮は、一人ひとりの困りごとの場面に合わせた個別具体の対応であるというその性質から、一律に罰則を設けることは難しく、何が必要な合理的配慮であり、何が提供義務違反の差別に該当するかは、最終的には裁判所の判断において明らかになります。

障害のある人が、学校や職場等でなんらかの合理的配慮を求め、それが提供されなかったために訴訟をした、という場合に、個々の事案に応じて、公序良俗(民法90条)、不法行為(民法709条)、信義則(労働契約法3条4項)、解雇権濫用(労働契約法16条)等に該当するか否かが判断され、場合によっては事業者側に損害賠償の支払いが命じられる可能性があります。

具体的にどのように合理的配慮の内容や実施の有無が決められるかは、次の章で見ていきましょう。

合理的配慮実施のプロセス

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実際に合理的配慮の実施はどのように進められるか、どういった点に留意が必要か解説します。

何よりも大切なのは対話と合意形成

困りごとに応じた個別の調整であるという性質上、実際に行われる合理的配慮の内容は、障害のある本人と周囲の環境によって異なってきます。だからこそ、配慮を必要とする本人による意思表明と、配慮を実施する事業者との対話・合意形成が重要になります。

「配慮」という日本語から、一方的に「してもらうもの」、「してあげるもの」というニュアンスを感じる人もいるかもしれません。しかし、「合理的配慮」の原語である、Reasonable Accommodation(リーズナブルアコモデーション)のAccomodationという言葉には、「調整・便宜」という意味合いが込められています。障害のある方と周りの方々、「お互いにとって」過ごしやすい環境を作るにはどうすれば良いか?という発想を持って対話を進めると良いでしょう。

具体的には、以下の4つのポイントを意識しながら合理的配慮を実施することが大切です。
  • 本人や保護者・介助者から、必要な配慮に関する意思表明をすること
  • 学校や企業、行政などがどんな配慮ができるか検討し、本人と話し合うこと
  • どんな場面でどんな配慮ができるか、お互いに合意したうえで実施すること
  • 配慮を実施したあとも、定期的にその内容や程度について見直し・改善をすること
基本的には、合理的配慮はそれを必要とする本人からの申し出(意思表明)を起点に検討・実施されることが通常です。障害のなかには、目には見えにくい障害もあり、本人のプライバシー保護の観点からも、事業者の側から本人に対して積極的に障害の有無を尋ねることに対しては慎重になるべきでしょう。

そのため、障害のある本人からの申し出がない場合に合理的配慮の提供に必要な措置を講じなかったとしても、ただちに事業者の側が合理的配慮提供義務違反として責めを負うわけではありません。

しかし、場合によっては、採用試験や業務活動など、本人と事業者が実施しようとする活動目的が、そのままでは十分に行えないと思われる際に、事業者の側から声をかけて、本人の意見を聞きながら、その場で必要な配慮を行うことは、障害のある人の権利保障・差別解消を目的とした法律の趣旨からすると望ましい対応であると言えるでしょう。

働くことに障害のある人のための就労移行支援事業「LITALICOワークス」では、障害のある人が就職する際に、雇用する企業等の事業者との間で、どのような合理的配慮が必要で、実施が可能かを相談するための「合理的配慮相互検討資料」を無料配布しています。以下のページからダウンロードして使用してみてください。
参考 : LITALICOワークス 「合理的配慮とは」参考 : 厚生労働省 「プライバシーに配慮した障害者の把握・確認ガイドライン」

事業者にとって過重な負担の及ばない範囲での実施

これまで述べてきた通り、障害者差別解消法や改正障害者雇用促進法では、事業者に対しての合理的配慮の提供義務が課されています。

しかし、ある人に特定の配慮を行うことで、他の人たちの生活や活動が困難になるなどの「均衡を失する」ほどの影響が生じたり、実施する事業者の側に対して「過重な負担」を伴う場合は、「合理的」ではないとして、その配慮の実施を断ることができます。

その配慮が「過重な負担」かどうかは、以下の観点を考慮しながら、行政機関や事業者が、個別の場合に応じて判断すべきとされています。
  • 事務・事業活動への影響の程度(事務・事業の目的・内容・機能を損なうか否か)
  • 実現可能性の程度(物理的・技術的制約、人的・体制上の制約)
  • 費用・負担の程度
  • 事務・事業規模
  • 財政・財務状況
ただし、「過重な負担」を理由として配慮を断る場合は、配慮を求めた本人にその理由を説明する義務があります。また、負担が少ない形で他の配慮が実現できないか検討することが望ましいとされています。

たとえば、「精神障害があり、電車での通勤負担が大きいのでリモートワークを認めてほしい」という合理的配慮の相談を受けた際、採用したその方と共に行う業務の性質上、どうしても一定の対面・集合のやり取りが必要であったり、社内規程の改訂に時間がかかり、すぐには完全リモートワークが難しい、といった場合もあり得るでしょう。

その場合、希望された配慮を100%実施はできないが、通勤ラッシュの時間帯を避けての出社を可能にしたり、本人と事業者で相談の上、業務に支障をきたさない一定の条件下においてのみリモートワークを認めるなど、本人の希望に応じた代替案が見つかるかもしれません。

他にも、「聴覚過敏があるので個室の作業スペースを用意してほしい」という合理的配慮の相談を受け、社内スペースが限られているために対応は難しいが、本人の座席を壁や窓際にしたり、イヤーマフ・ノイズキャンセリングイヤホンを使用しながらの業務を認めたりといった代替手段で、本人への聴覚刺激の負担をある程度減らすことができるかもしれません。

このように、具体的な合理的配慮の内容は、配慮を必要とする本人と周りの人々や環境との関係によって多種多様です。お互いを尊重した対話と合意形成を進めていくことが何より大切です。

就労場面(労働・雇用)における合理的配慮

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これまで、合理的配慮という概念の背景と、実施にあたっての考え方やプロセスを紹介してきました。本章では、特に就労場面ー労働・雇用における合理的配慮の考え方について見ていきましょう。

国連の障害者権利条約では、第27条において、労働・雇用の分野で障害のある方の権利を確保するための措置が規程されています。

27条1項では「障害者が他の者との平等を基礎として労働についての権利を有することを認める」こと、「あらゆる形態の雇用に係る全ての事項(募集, 採用及び雇用の条件, 雇用の継続, 昇進並びに安全かつ健康的な作業条件を含む)に関し, 障害に基づく差別を禁止する」こと、「職場において合理的配慮が障害者に提供されることを確保すること」が明記されています。

ここで重要なのは、「あらゆる形態の雇用(all forms of employment)」という表現です。「雇用」という日本語訳からは、雇用関係の成り立つ労働がイメージされますが、ここでの「あらゆる形態の雇用(all forms of employment)」は、企業等での一般就労だけでなく、福祉施設における福祉的就労等も含めた幅の広い労働を含むと解釈されています。

そうした、さまざまな労働形態のなかで、
  • 募集、採用及び雇用の条件
  • 雇用の継続
  • 昇進
  • 安全かつ健康的な作業条件
等、雇用・労働に関わるあらゆる場面において、障害を理由とする差別の禁止、必要な合理的配慮の提供が求められています。
参考 : 外務省 「障害者権利条約」
また、厚生労働省も、職場における合理的配慮の指針を発表し、主に「募集及び採用時における合理的配慮の提供」と「採用後における合理的配慮の提供」に分けて、具体例が紹介されています。
参考 : 厚生労働省 「「雇用の分野における障害者と障害者でない者との均等な機会若しくは待遇の確保又は障害者である労働者の有する能力の有効な発揮の支障となっている事情を改善するために事業主が講ずべき措置に関する指針」」
次の章では、職場での合理的配慮の具体的な例を見ていきましょう。

障害種別ごとの、職場での合理的配慮事例

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以下では、障害種別に応じた合理的配慮の具体的な実施例を紹介していきます。

これまで述べてきた通り、合理的配慮の実施内容は、障害のある本人と事業者同士の対話・合意形成の中で個別具体的に決まっていくものです。

以下はあくまで一例として参考にしていただき、ご自身の職場環境に応じた合理的配慮を検討してみてください。

身体障害

  • 肢体不自由で車椅子を利用している人が、通勤ラッシュを避けて出社するための時差出勤を許可する
  • 身体に負担がかからないように、机や椅子の位置や高さ、作業場の導線を調整する
  • 視覚障害のある人の業務用に、拡大文字や音声読み上げソフト、聴覚・言語障害のある人の業務用に、要約筆記や音声入力機能等、情報保障の手段を用意する

精神障害

  • 本人の体調や通院・服薬のリズムに応じて、出退勤時刻・休暇・休憩などを調整する
  • 休職後の職場復帰に際しては、復帰を支援するリハビリ体制を構築し、業務量を最初は少なくして徐々に上げていくなど、無理のないペースでの復帰プランを立てていく
  • 本人のプライバシーに配慮しつつ、体調や症状について職場の同僚と共有し、お互いの期待やコミュニケーションのズレによるストレスを緩和する

発達障害

  • 抽象的な表現やあいまいな表現の理解が難しい特性に配慮して、具体的で明確な指示・説明を行ったり、業務手順を示したマニュアルを整備したりする
  • ものを忘れやすい、注意集中が散りやすいといった特性に配慮して、業務の手順や優先順位を一緒に整理したり、集中して作業できる時間やスペースを確保したり、業務内容のダブルチェックのタイミングを設けたりする
  • 視覚過敏があり職場の明かりが眩しいという場合にサングラスの着用を可能にする、聴覚過敏があり職場の音が苦痛だという場合に、イヤーマフやノイズキャンセリング・ヘッドホンの着用を可能にする

知的障害

  • 作業の手順や内容を図等を利用したマニュアルにして、業務を理解・習得しやすくする
  • 「それ」「あれ」といった抽象的な表現を避け、簡潔で具体的な表現で説明する
  • 本人の習熟状況に応じて業務量を徐々に増やしていく
また、上記のような個別の調整だけでなく、障害のある人が業務上困難に直面したり、心身に大きなストレスがかかっている際に相談・支援をしやすいように、社内に相談窓口や相談担当を設けるなど、平時からの支援体制整備も重要です。

その他、高次脳機能障害や失語症、難病や内部障害など、障害・疾患の種類によってさまざまな困難さが生じます。上記を参考例とし、障害のある本人と職場の人事や上司、同僚等の間で対話をしながら、必要かつ現実的な配慮の内容を決めていきましょう。

合理的配慮からユニバーサルな環境づくりへ

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これまで、障害のある方が障害のない方と平等に、働く機会を確保するという観点で、合理的配慮について解説してきました。

ですが、障害のある方に対する合理的配慮を考えることは、障害のある方本人だけでなく、同じ職場で働く他の人にとっても過ごしやすい職場環境を考えるきっかけにもなるということも、覚えておくと良いでしょう。

たとえば、肢体不自由で車椅子を利用している人のために、オフィス内の導線を移動しやすく整理してみたら、みんなにとって快適で移動しやすいオフィス環境が定着した、ということがあるかもしれません。

口頭指示や抽象的な理解が苦手な特性のある人のために、業務の手順や内容を具体的に整理したマニュアルをつくったところ、そのような特性がない人にとっても、仕事を覚えやすくなり、チーム全体として業務の抜け漏れが少なくなった、ということも起こりうるでしょう。

精神障害や難病のある人のために、通勤時間を柔軟に選択できるようにしたり、リモートワークが可能な業務や条件を整備したことで、育休明けの時短社員等、他の人にとっても有用な働き方の選択肢が増えていく、ということもあるでしょう。

もちろん、企業や事業ごとに、予算や人員等の制約もありますから、すべての人にとって100%快適な職場をつくるということは、そう簡単ではありません。それでも、特に困りごとが大きい傾向のある、障害のある人に対する合理的配慮を考え、実践し続けることは、多様な人が働きやすい職場環境やマネジメントのあり方を考え直す契機になるはすです。

合理的配慮の実践とその蓄積は、誰もが働きやすいユニバーサルな職場環境づくりにつながっているのかもしれません。

まとめ

出典 : amanaimages
合理的配慮は、障害のある人もない人も誰もが幸福を追求する平等な権利を持つという前提のもと、障害のある人が過ごす上での困りごとを解消し、障害のない人と同様に社会活動に参加できるように、必要な場面で適切なサポートをおこなうという考え方と実践です。

働く場面における合理的配慮は、障害のある方本人だけでなく、職場全体の生産性を高めることにもつながるでしょう。

一人ひとりのちがいを前提に、障害のある方本人と周囲の人の間で丁寧に対話を重ね、誰もが働きやすい職場環境をつくっていきましょう。
参考 : 朝日雅也ほか編・奥貫妃文ほか執筆 「障害者雇用における合理的配慮」

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