空気は読めないと自覚!だけどコミュニケーションは間違えないように。発達障害の私がしている工夫
更新 2025/03/14
公開 2025/03/14
更新 2025/03/14
公開 2025/03/14
大阪のおばちゃんで3児の母、ゆたかちひろです。2005年生まれの長男と2010年生まれの次女には発達障害があります。子どもたちの様子を見て受診したらやっぱり私自身もADHD(注意欠如多動症)でした!今回は、コミュニケーションの工夫と、その思いについて書きたいと思います。
無料会員になりませんか?
働くことに障害のある方へ役立つ情報が届きます!
子どもたちの特性を見て、自分にも心当たりがあったので、50歳目前で発達検査を受けました(そのときの記事はこちら)。そのときにADHD(注意欠如多動症)の診断を受けたのですが、ASD(自閉スペクトラム症)の診断基準は満たしていなかったので、診断はされませんでした。 ASDの診断項目をよく見ると、該当しそうだけれど努力して克服してきた項目が多く、自分でもよく頑張っているなぁと思ったほどです。
無料会員になりませんか?
障害者雇用の求人案内が届きます!
「家族が病気で寝込んでいるときに、そのつらさに向き合わなかったり、共感できない人っているよね。」というような文章を読んで、ふと思い出したことがありました。私にも、確実にその傾向があります。
子どもが病気で寝込んだりしていたら、保護者として看病するのが当たり前なので、何か思うことはないのですが、これが夫となると「自分の家事負担が増えてしまう。」「しんどいって口に出して言われても、私は医者じゃないから何もできない。だから、言わないでほしい。」という気持ちが心の片隅にしっかりあります。
当然、そんなこと思うなんて酷い!と頭では理解しているので、その思いは心の奥底に潰して押し込んで、夫が早く楽になるように看病するわけです。
言葉にするのは難しいのですが、昔から共感能力が低いのは自覚していました。でも、大事な家族である夫なのに、私はこんな風に思ってしまうのだと気がついて、ちょっとショックを受けてしまいました。
また、最近父があちこち身体の不調を訴えていたので、ちゃんと病院に行かないとね、と声をかけていました。検査などで病院に行くことがあるので、「車出してほしいとかあれば言ってね」と声掛けをしたり、治療の話を聞いたら、前向きな言葉かけをしたりするようにしています。なのに、つらいとか悲しいという気持ちはほとんどありません。多分、心からつらい気持ちに寄り添うというのはできないのだろうな、と感じています。しょうがないと言えばそれまでなのですが。
コミュニケーションの失敗から生まれた工夫は「確認すること」
共感能力が低めということの他にも、もう一つあります。それは、これまでの人生の中で、「それ言っちゃダメでしょ」という言葉を言ってしまう経験をたくさんしていることです。言ってはいけない相手、言ってはいけないタイミング、言ってはいけない場面などなど……。
思えば高校生くらいのときに、人の気持ちに共感したり、空気を読んだりすることができないと気がつきました。その頃から、空気を読もうということは、できるだけしないようにしていきました。そこで考えた工夫は、「その場その場で何が必要なのか、相手に気持ちを確認すること」です。これでいいかなぁ?といちいち聞いてくる相手は面倒だと思うのですが、それでも、見当違いの気遣いで不愉快にさせるよりはマシなのです。
そうやって気をつけていても、やっぱり失言が多くなってしまい、成人してからもお付き合いがなくなる人もいました。失礼なことを言う人と、わざわざ付き合い続ける必要はないですからね。
無料会員になりませんか?
就労支援施設の案内が届きます!
今も人と話しているときに、「この話をするタイミングは今じゃないからガマンガマン」と自分に言い聞かせています。「黙って相手の話を聞くように」と心の中で唱えながら、会話をしています。でも私の脳には、「相手のことなんて聞かずに、自分の話したいことだけ話していたい!」という衝動があり、それを抑えるためにフル回転しています。
あと、頭の中で次々といろいろなことが浮かび「話が繋がっていない」というのもよくあります。これは、今でもなかなか改善できていませんね。特に家族や友人、気を抜いてしまう相手と話しているときに顕著です。
映画やドラマ、アニメを見て、漫画や小説をたくさん読んでいるので、こういうときはこう言うべきという「例」はたくさん学んでいます。そして自分自身のコミュニケーションにも、そこから学習した言葉を紡いだりもします。
私から出る言葉は、自分で考え抜いた言葉なのか、心の動きに合わせた適切な言葉なのかはわかりません。それでも、コミュニケーションを間違いたくないという気持ちは本物なので、そこだけは自信を持って、人との縁を大切に、これらかも言葉を紡いでいきたいと思っています。
こう書いてみると、共感能力が低く、思いやりの能力が低いことを改めて自覚しました。なんと、50歳です(笑)。もっと早く気がつくことができたら、もっとうまく人とコミュニケーションが取れて、人との信頼関係を失うこともなかったかもなとも思います。
こうやって一生頑張り続けないといけないのはわかっていますが、ときどき疲れてゆるんでしまいますね。最近はADHDの治療薬を飲んでいるからと油断しているのか、話すときの気遣いが少し足りていないな、と気づくことが増えています。改めて、気を引き締めていきます。
これからも無理しない程度に特性と向き合って、コミュニケーションについても工夫しながら頑張っていくしかないんだろうな、と思っています。
ゆたかちひろさん、お子さんを育てながらのお仕事はただでさえ大変かと思いますが、その中でもご自身とご家族に向き合って頑張ってこられたのですね。 発達に偏りのある方の中には、「共感能力の低さ」や「失言してしまう傾向」、「会話での脳のフル回転」に悩まれている方も多いのではないでしょうか。
発達に偏りがある方は、他者の感情を直感的に理解する「認知的共感」が苦手な傾向があるといわれています。「空気を読む」ことが苦手だと自覚されて、無理に空気を読もうとするのではなく「相手に気持ちを確認する」ようにしたというのは、本当に素晴らしい解決策ですね。苦手なことを無理になんとかしようとすると、見当違いの努力をしてしまうこともあるでしょう。苦手なことは苦手なこととして受け入れて、多少遠回りに見えても、苦手をカバーする方法を考えることが案外近道だったりするものです。
また、衝動性がある場合、「話したい!」という気持ちを抑えるのが難しくなり、脳内で「ガマンガマン」とブレーキをかけ続ける必要があるので、会話の中で膨大なエネルギーが使われてしまいます。会話一つでも脳がマルチタスク状態になり、エネルギーを大量に消費するため、疲れやすくなるのです。「今は聞くだけ」「今は話すだけ」と役割を分けて考え、シングルタスク化して脳の負荷を減らすというのも良い手ですね。
普段からとっても頑張っているので、時にはゆるんでしまうこともありますよね。そんなときにも自分を責めず、「無理しない程度に頑張る」と前向きに頑張られていること、本当に素晴らしいと思います。
これからも、無理せず自分らしい工夫をしながら困りごとを乗り越えていってくださいね。応援しています。
執筆 : ゆたかちひろ
3人の子の母親で漫画家&イラストレーター。長男(2005年生まれ)ASD&ADHD・長女(2008年生まれ)定型発達・次女(2010年生まれ)ASD&ADHD+アレルギー&成長ホルモン治療中。子どもたちの様子を見て受診したら自身もADHDでした。
猫映画ご飯なインスタ@yutakachihiro