ごろりんはうす

　自分は岩手県出身ですが大学進学の為、秋田市に移り住みました。大学時代は発達障がい特有の性格が災いして課題の提出や講義の出席が滞り休学を挟みつつ、4年半通った後退学しました。 　福島県の祖父が亡くなるまで、家族と交代で祖父母宅の留守番をして過ごしましたが、短期のアルバイトしかしてこなかった上に障がいの特性を加味すると就職までには訓練や支援が必要になると感じた為、地元より支援が充実している秋田市にその後も居続ける事にしました。 　市の相談会や若者サポートステーション等で就労移行支援や就労継続支援の相談を重ねていくなかで、ごろりんはうすを知りました。 　見学や面談を通してごろりんはうすでの作業、特に創作活動は例えば1人が紙に描いた漫画をパソコン作業が得意な利用者がデジタル化して印刷しやすくしてバザーで売ったり、そのままデータとして電子書籍化したりと創作活動からも様々な利用者の作業に繋がる様な仕組みに、与えられた作業以外に自分で工夫して作業に繋げるといった、作業の自由な所が自分の特性を矯正しつつも良い所は伸ばせるのではないかと感じた結果、通所する事になりました。 　

　通所したての頃は寄付品をインターネットオークションに出品する作業の人手が欲しいとの事で、パソコンの苦手な利用者でも出品できるようなマニュアルを作成しました。事業所の仕事は、施設外就労としてアパート清掃、リサイクルショップの販売・管理などの単一的な作業ばかりではなく、様々な作業が日毎日毎に行われておりました。そんな中で、個人的には忙しさに慌てる事も有りましたが、その都度、支援員のサポートで落ち着いて作業をこなす事が出来、特に動画・画像編集といったパソコン作業のスキルを伸ばして貰い、自分でも経験が身に付いたなあと感じました。 　ただ、居心地が良すぎてしまい、当初自分が考えていたその後の就職に向けての取り組みが疎かになってしまい、結局約5年間も利用してしまいました。 　 在籍時も集団就職面接会や障がい者求人に応募したりと、次の段階に踏み出そうとしましたが中々、採用されず、このままごろりんはうすで過ごしたいと落ち込む事も有りましたが、諦めずに応募した所、秋田市内の酒造メーカーに採用された為、突如として自分のごろりんはうすの卒業が決まり、慌ただしく入社に向けての準備に取り掛かる事になりました。

　晴れて酒造メーカーに就職したと言いたい所ですが企業側も初めて障がい者雇用を行ったとの事で受け入れ体制は必ずしも万全とはいかなかったなあと言うのが自分の感想です。 　 特に自分の障がいの特性でもある「具体性のある指示を受けないと作業に取り掛かれない点」はしばしば、指示が曖昧であったり、指示は逆にこちらから伺わないと出してくれなかったりと内心、苦痛になる事ばかりで「障がい者求人で就職したのに」と思う事ばかりでした。 　幸いなことに、相談したハローワークの方が会社側に障がいの特性を説明して下さり、それからは自分の扱いも改善されていきました。 　就業場所の作業自体は、ごろりんはうすで作業した頃と違い肉体労働中心ですが、時折頭を使う事もあるので、やっぱりごろりんはうすを通所し続けたおかげで自分の特性の割には咄嗟の事もある程度は対処出来るようになりましたので、一見関係無いように見えても経験が活きているなあと感じました。 　また、そのごろりんはうすですが時折、相談や近況報告等で訪れる事があり、卒業してからも途切れることなく繋がりがあるという安心感があるので、就職してからもお世話になっております。